ピーター・パン シンドローム である(笑)
芥川賞受賞作品の 『推し燃ゆ』(宇佐見りん) を読んだ
主人公の高校生 あかり は、おそらく発達障害をもっているか、グレーゾーンの いずれか なのだと思われる
彼女は そうした 生き辛さ をかかえながらも アイドルグループに所属する 推し を応援する事のみを 心の支えにして 頑張って生きていた
嫌な時でも 推しの歌を聴き 気を紛らわせ、グッズを買うため、うまくいかないアルバイトをも続け、推し を理解する事のみに集中し生きている
だが、ある日 推しが ファンの一人を 殴った事件で SNSが炎上したことを きっかけに その生活は徐々に くずれてゆく
そして、推しが結婚し、芸能界引退… 最後のコンサートを終える
一番 最初の推しとの出会いは DVDの中、まだ 少年で ピーターパンを演じていた
そして 大人には ならない…云々のような事を語っていたのに 記者会見の中では、左手に銀色の指輪を光らせている(笑)
絶対に 見返りを求めないで推していたはずの あかり は、ネットやSNSで 噂される 推しのマンションの前まで 行ってみるが
そのまま走って通り過ぎる
自宅に帰る 片付けができず、散らかった部屋……
彼女は 衝動的に 綿棒の入ったケースを床に 叩きつける
床に 散らばった綿棒が 火葬場の骨のように見える
その 綿棒を まるで骨を拾うように 背中を丸めながら拾い… ケースに入れ続けるところで 物語は終わる
アイドル推し が アイドルを推すスタイルは 人によって様々である
社会的に恵まれた人もいれば、夫婦で アイドル現場にやって来る人もいる
同性の推しを 応援する人も 驚くほど多い 現場(コンサートなど)に まったく行かない人もいる
ただ、その ほとんどの人が 推しからの 見返りを期待しない! というのだが… 実際には どうなのだろう?(笑)
コロナ過の中、最近の モーニング娘。 の曲で つんく♂さん が手掛けた「ギューされたいだけなのに」というタイトルの歌がある
この曲への つんく♂さん による解説が… 少し これに近い部分があるので 一読をお勧めする
クリック → 「ギューされたいだけなのに」セルフライナーノーツ
確かに、多かれ少なかれ、アイドルへの需要は その時代時代の 満たされ具合や不平 不満によって上下するものなのかもしれない
満たされない時代の方が 人々のアイドルへの依存度は高まる気もしないではない
景気のよい バブル期などは、アイドル不在時代 と 位置づけられたほどだった
えっ? 私ですか???
私がアイドルに はまった きっかけは、ブログのネタ探しで 当時人気絶好調だった AKB48 と 人気落ち目だった モーニング娘。の比較の記事を書こうとして
それなのに モーニング娘。の方が 口パク無しの生歌で ダンスも表情も表現力も 桁違いに素晴らしくって… ファン達も どんなに劣勢になろうとも 闘志満々で 大きな会場にコールを鳴り響かせ 曲と一体化して燃え上ってるし
メンバーも 負けてる気ゼロなわけで 年々パフォーマンスも素晴らしくなっていくし、新メンバーも やる気満々で入って来て…
この人たちは こんなに差をつけられてるのに いったい 何をやろうとしてるんだろう?
アイドルとは何なんだろう? アイドルは何に向かって成長してるんだろう? っていう疑問の答えを探しながら アイドル ヲタ をやっています(笑)
でも やっぱり 実生活では やってらんね〜よ!!って事や うまくいかない事があるから アイドルを推す部分もあるのかな?
そう そうかもしれない
アニメ『宇宙戦艦ヤマト』 のエンディング曲に「真っ赤なスカーフ」 っていうのがある
変わり果てた 絶滅寸前の地球を救うため、はるか遠い宇宙を旅する乗組員達が、たぶん 地球での乗船前の行進パレードの時にでも見たのであろう 真っ赤なスカーフ を振る女性の姿を心に残し
「あのコは、オレの為に振ってたんだ」 「いや、おれだ !」 と言い合いをする
結局は 誰のために振っていた なんていうのは関係なく… 誰のためでもいい…
明日は 戦争で 大怪我をして死ぬかもしれない身であり 家に帰りたくても帰れない 苦しさ 辛さを我慢しながら 死の恐怖と戦う半死刑囚達には
そんな スカーフを振る女のコ なんていう偶像崇拝でもいいから 胸に抱きしめていなければ やっていられない寂しさ… 暗闇…が心の中にある
そういった 生きるために必要な 微々たる希望としての存在が アイドルなのかもしれない