ゴーンショック から 日産を顧みる 「神話は 誰が つくったか?」
今や 世界中で人気のある スポーツ車 日産 GT-R
たしかに 素晴らしい デザインなのだが、この GT-R は、もはや 日本で 作られたものではない! という話を聞いた・・
自信満々な ゴーン氏 と GT-R が写された写真。 たしかにカッコイイ車だ
GT-R っていうラベルを誇らしげに貼り、スカG神話 を くっつけて、「この車なら GT-R と名乗っても 不足は無いだろう? どうだ?」 と言われれば そんなような気もするが・・
私達は、何か 一番 大切な事を忘れていないだろうか?
おっさん世代 の 僕達が、少年の頃に聞いた はなし
これは、これからの 日本の企業に勤める人々 全員に 考えてもらえたらな・・ と思う 問題なので 記すことにした
そもそも この車、GT-R の 神話は、誰が作ったのか? という事を話さなければならない
第二次世界大戦に負け、焼け野原 になった日本・・そこへ 進駐軍が やって来て、日本は 復興を目指し始めた。
人々は 貧しさにも負けず、働いて 働いて、勉強して・・ 少しずつ、少しずつ どん底から 立ち上がって行った。
しかし、一度、完全破壊されてしまった 工業力や技術力 は、そう簡単に 戦勝国との差を縮めるまでには至らず・・
外国で作られた 映画や TV番組には、裕福で ぜいたくな暮らしぶり を魅せつけられ、外国製の車も 圧倒的に素晴らしいもの ばかりで、そうした車を見るたびに 当時の日本の人々は、自分たちの国の力の小ささを 思い知らされるばかりだった。
それでも、ようやっと、そこそこの 自動車 を開発できるようになり、自動車会社は、テストコースを造り、各社で、競合し合い、自動車レースまで行われるようになり・・
移動や仕事の目的ではなく、 自動車を 新たに、余興として楽しむ という 余裕が 出来始めたのだ。
そんな仕様の車 がモーターショーに展示されるようになると、人々は、「まるで、外国みたいだね。」 と ワクワクしたものだった。
GT(グランド・ツーリング)カー、GT車・・ つまり、長距離を 優雅で快適に 大旅行できる贅沢な車
そういう GT車 が、登場し始め 子供たちが憧れ始めるようになった事! それは、まさに 新しい時代の幕開け を 予感させる 出来事だったのだ!
そんな時代、プリンス(その後、日産に吸収合併される) という会社が、スカイライン という車を作った。
この車を GT車にしよう! それには、大きなエンジンを積もう・・ということで・・
今にしてみたら 滅茶苦茶な話なんだけど・・(笑)
スカイライン を 真っ二つに 切って・・ 20cm 長く継ぎ足して 溶接で ノリで貼るように くっつけたのである(笑)
(これは、嘘のようだけど 本当の話なのだ(笑))
それで、4気筒 1500cc のエンジンを積んでた スカイライン に もっと大きい グロリア って車に載せていた、6気筒 2000cc の エンジン を積んで GT車 にしてしまった (笑)
(いや・・ 本当の話で、僕らより 年上の 兄ちゃん世代が 言っていた話では、この 最初のスカG には、 人間でいえば、手術した後みたいに、溶接した後が 二本 薄っすら と残っていた って聞いたことがある・・(笑))
・・で、そんな事するものだから・・ 走行バランスが、無茶苦茶になってしまって・・ (あたりまえだよね・・(笑))
もちろん剛性も不十分で レースなんかで振り回したら バキッって 折れそうなものなのだが、そうは ならなかったらしい。
当時のタイヤは 情けなくって・・ その前に 滑って車が流れる から 折れないで走れたという・・・ww
カーブ を 曲がるんじゃない! スリップして、向きを変えるしかない・・ カーブ全部を 滑って曲がる・・
いわゆる 「ドリフト」 を使って走ることになる。
ところが、わざと、滑らせて走っているうちに・・ ドリフトの テクニック次第では、鈴鹿サーキットで この車が、日本一 速いタイムを出せることに 気が付くのだ。
つまり、弱点を 人間が工夫して 長所に変えることにより・・ スカイラインGT は、素晴らしい車に 変貌したのである。
そして、1964年に開催された第2回日本グランプリ この スカG は、出場することになって、優勝を 狙うわけなのだが・・
ところが、その大会が始まる、直前、(おそらくは国内の他メーカーからの 意地悪で・・) 世界でも最高峰の スポーツカー ポルシェ 904 カレラGTS が 出場して来たのである。
当時の日本は、相当、自動車部門で 世界から 遅れていたわけで、関係者に言わせると 「軽自動車のレース に F1 が参加するようなもの」って語っているくらい その差は歴然としていたらしい。
この 写真を見ただけで、解ると思うのだが、写真左 の ポルシェ は、ルマン24時間で 走る レーシングカー さながらの形をしている
一方の 写真右、日本の スカイラインGT は、そこら辺を走っている タクシーみたいな 形をしている(笑)
こんなのが、同じレースに出ること自体が おかしい・・(笑) 勝てるわけがないのだが・・
とにかく、実際に走ってみると やっぱり、ポルシェはすごくて、カーブを滑らかに スムーズに 走り トップを独走!
一方のスカイラインは、曲がるんじゃない・・ 滑って方向を変えている・・
みんな その差に 愕然とさせられた
見ろ! あの トップを疾走し続ける ポルシェ 904 カレラGTS の フロントノーズ・・くるま の先端こそが、世界で一番前! 最速の壁なんだ! 速いな〜! 見事だな〜!
ポルシェの 圧倒的な素晴らしさばかりを 魅せつけられたレースだった・・
ところが、その レースの 7週目、信じられない事が起こった!
アナウンサーが興奮して「スカイラインGT が トップを奪いました!」 と叫びだしたのだ。
それは、みんなが 「えっ!」っと 声を上げるような 瞬間だった!
観客席の お客さんは 全員、どちらが 先に ホームストレートに 現れるか注目した!
たった、一周だけだったが、それは、日本中が 歓喜するような とてつもない出来事だったのだ。
だが、結局、ポルシェに負けてしまった スカイライン は、販売台数が落ち、プリンス社は、経営が困難になってしまう。
そうして、この時、日本政府が 国益を考えて動く!
通産省が 日本の車を 外国車に対抗させるべく、苦肉の策として 技術を持つ プリンス社 を日産に吸収合併させる動きに出たのだ。
この状況・・ プリンスには、屈辱的な どん底のような話に思えるが・・
ところが その時、プリンスの代表は、社員達と こう 誓ったのだ という!
ようし! じゃあ、プリンスとして 最後のレースで、ポルシェ に勝ってやろうじゃないか! と・・・
エンジンも 世界に対抗できるくらいのものを作って
今度は、ボディ も ポルシェに 負けないような、レーシングカー みたいな シルエットのを作ってろうじゃないか! と・・
燃料給油! 整備員の 信じられないような 早業で、ピットを飛び出した、プリンス のR380 は、ポルシェ の 前に 躍り出た!
驚いたのは ポルシェ を走らせていた側の 陣営だった! どうなってるんだ?
もう これじゃあ・・ 勝てない!! なんで 抜かされた・・・????
ドライバー も 相当 動揺したに違いない・・・ あっ!
突如・・ ポルシェ は、スピンして ガードレールに 激突!
大破し・・ 見るも無残な姿に・・・・
レースは、見事、R380 が勝利を収め、プリンス は、最後に雪辱を果たした。
そして、この車の技術をもとに 作られたのが、日産 スカイライン GT-R なのだ。
ここまで、話したら お解り頂けると思うんだが、本日の テーマ、「神話は 誰が つくったか?」を思い出してみよう
神話は 神ではなく、人間が・・ 社員たちが 作ったのだ!
会社が スカイラインに手を加え、スピードアップしたものの 曲がらない車になり、それを ドライバーたちが、ドリフトというテクニックで補って 日本一早いタイムを出し
さらに、その時、レースに出場するには、100台 販売しないといけないというハードルがあって・・
それも 営業の人達が 相当、頑張って、なんとか ギリギリで・・(笑) かろーーうじて 100台 売って 出場権を得た・・
なのに、レースには ポルシェ が出てきて・・(笑) それに対しても 頑張って走って 一周でも抜いて、一太刀 あびせてやった!
日本の子供たちに 夢は与えたが、会社の吸収合併 が決まって・・ww
最後の意地で、持てる技術と能力を 全員が駆使して R380 をつくり出し、ポルシェ に挑戦する! そうして、ついに・・ついに 雪辱を果たし ポルシェに打ち勝つ!
神話は 誰が 作ったか? 神話は 人が作ったのだ! いや・・ もっと、平たく言えば、
「神話は 社員が作った」 のである!
ここで、今日の はじめの 話に戻るとしよう。
ゴーン氏 の 日産GT-R は、僕の目から見ると スカイラインGT-R の 元となった R380 よりも どちらかというと、ポルシェ906 に近いような イメージに見えるのだ!
フランスの人々の 願い・・夢に近い というか・・
ポルシェに匹敵するような車で・・ 美しい デザイン、それに 世界的人気の スカイラインGT-R の 神話の部分だけを エンブレムとして貼り付け ストーリー性を強調! ポルシェ に クーデター を起こし 渡り合った 伝統と格式を与える。
まさに 合理的で 完璧な 芸術作品である!!
でも、スカG って こうじゃないよな! っていう のが、僕の 正直な感想なのだ!(笑)
スカG神話 っていうのは、もっと 人間の手で作る 人間臭い ドラマ・・
そう・・ もう 勝ち目のない 完璧な マシンに対して、社長も! 技術スタッフも! ドライバー も! 営業も 社員全員が
手渡しの バケツリレー みたいにして 繋いで作った 物語だったのでは なかったか?
スカG神話 を作った 当時の皆さん は、自分の事を 神だ なんて思って いないのかもしれない・・・
とにかく、必死になって、みんなが 頑張っただけ! とか、そういうふうに 答える人もいるかも知れない
家族を励みにして・・社員が頑張る! 素晴らしい車が出来る
それを見た 国民 みんなが 元気をもらい 国全体が 前のめりになる!
新しい時代が到来する!! GT-R って そういう時代を作った 車だったんじゃないだろうか?
決して、完ぺき ではなく 悔しさをバネに、常に 挑戦し続けて・・ そして 消えていった 車だったのではなかったのか?
日本の企業は、これからも この大切な気質を 受け継いでは 行けないものだろうか・・?
今の 世代の人々の方が、国際社会では、かえって、怖じ気づかないような 強さがあるから、あの当時の人達に 逆に似ていると 僕は思うのだ。
期待している!
だから そういう事を ちゃんと受け継いで、伝えて・・ 頼むぞ! と言って タスキを渡したら
あの 神話のような 奇跡を! これからの 日本の 皆さんは 絶対、やってくれる と信じているよ!
それを 今日は、告げたかったのだ! だから この話を書こうと思ったのだ