子供たちに人気のアニメ 『ポケットモンスター』 の中に サワムラー というモンスターがいるのだが、(笑) 今日は、そのサワムラー のモデルになった キックボクシングの選手のお話だよ。
サワムラーのモデルになった人は、沢村忠 という人で、昔、有名なキックボクシング・・・ つまり ムエタイの選手だった人だ。
この方は 都市伝説で、「その後、死んだ。」 とか、引退後 「暴力団員のヤクザになった。」 といった噂が流れたんだけど、事実は ぜんぜん違って 引退後は堅実な人生を 送り 現在は、自動車の修理販売業を営むかたわら、子供達に空手を教えている・・という。
それで、沢村選手には 彼を育てた 野口修という名のプロデューサーがいるのだけど、この人は、日本で タイのムエタイ・・つまり キックボクシングという新しいスポーツを確立し、日本人のスーパースターを世に送りだして本場 タイの選手と闘わせたい。 という夢をもっている人だったのだ。
それで、目を付けたのが当時、剛柔流空手の三段で空手の公式戦では、60回以上戦って不敗・・ 負けた事は 一度もなかった白羽 秀樹(沢村選手の本名)だった。
もちろん はじめ 沢村選手は、試合なんか したいと思わなかったので断ったのだけど、野口プロは、若くて血気盛んな沢村選手に 「君は空手が一番強いと思っているようだか、それは全くの認識不足なんだよ。しょせん空手は寸止めで、実践的ではない。いくらシャドウボクシングがうまくてもそれで果たして実戦で勝てるかな?ムエタイは、近づけばヒジやヒザが、離れれば回し蹴りが飛んでくる。これと戦えば空手なんてひとたまりもないさ。」 と挑発し うまく、戦いに引き出させた。
もちろん 沢村選手は 空手の選手として とても強かったので ムエタイの一人目の選手にはノド元に蹴りを突き刺さして KO勝ち したのだが・・・ 数日後、東京で行われた これで試合は最後という 第二戦で ルンピニーの当時・フェザー級8位のサマン・ソー・アジソンに破れた。
KOタイムは 4ラウンド 2分53秒。 ダウンは合計16回にも及び、沢村選手は担架に乗せられて退場し 意識は途中から無かったという ほとんど 失神ノックアウト負けだった。
格闘技の選手にとって 試合中に失神して 気を失って負ける・・という事は、耐え難い屈辱だという・・・・
気を失ってしまったら もう その時は、どんな姿か自分にも解からないし どんな事をされても され放題だし・・・・ 中には 口からアワを吹いたり 失禁して オシッコ を漏らしてしまう選手もいるのだ。
これは その時の試合を アニメにしたものです。 是非、ご覧ください。
沢村忠 VS サマン・ソー・アジソン ← クリック
沢村選手は試合の後、病院直行となり、そのまま入院、 奥歯が5本抜けており、打撲と診察されたものが37箇所、出血13箇所、更にヒジ打ちを食った後頭部は陥没していた・・・という。
高熱が一週間続き、頭には継続的に 頭痛・・というより激痛が走り続ける状態で、いわゆる半殺し状態であったらしい。
そして、沢村選手は、この経験で キックボクシングの選手として 生まれ変わることになる。
演劇などの世界でも そうだというんだけど 「追い込まれれば 追い込まれるほど いい演技が出来る。」と言われるように、 人は、究極まで追い込まれると 覚醒するときがある。
この時の沢村選手がそうだったのだろう。
一ヵ月後、沢村選手は、精神の鍛錬を目的とし、八ヶ岳で山籠(やまごも)りに入る。
人のいない山奥で毎晩夜を明かし、孤独と恐怖に耐えることで精神が成長すると考えたのだそうだ。
一度、失神KOされると、深刻なパンチ恐怖症になるのだが、多くの人は、そこから脱出できない。
((素人を含め)失神したことの無い人の方が強い事になってしまう。)
沢村選手は、そこから 精神面を鍛え、何とかして脱出したものと思われる。
元々、飛び蹴りが得意だった沢村選手は、その後、相手にかわされない コンパクトに蹴る 膝蹴りを垂直に飛び上がって顔面に入れるという・・・いわゆる 彼の必殺技となる 「真空飛びヒザ蹴り」 をあみだす。
(もちろん その技を開発するのも かなり大変で、屋根の上から滞空時間を長くするために 手をバタバタさせながら飛び降りる練習をしたりと・・・ いろいろな事をしたようで、試行錯誤の上で生まれたようだ。)
そうして キックボクシングの選手としてデビューし、その技で東洋ミドル級チャンピオンとなったり 本場、タイのチャンピオンを倒したりして活躍したのだ。
そして、プロデューサー野口修の夢は実現し、キックボクシングはレギュラー放送としてテレビ中継され 沢村選手の人気が爆発したのだ。
赤いパンツが沢村選手。 わざと ガードを下げ 顔を打たせ 打ち合いにして 相手をムキにさせ 前に出てこさせる。 ・・・そして
最近では、K1 選手の レミー・ボンヤスキー選手が、この技を得意としていた。 決まれば 本当に一撃KO の必殺技だ。
下の動画は、『キックの鬼』 の主題歌です。 沢村選手 本人が歌っているバージョンです。
もちろん沢村選手は歌の方は 素人です。
歌いだしがズレていきなり はじまったり・・・・(笑) 決して 上手とはいえませんが この歌、僕は大好きです。
歌の先生の注意を聞きながら 一生懸命に頑張って歌ったんだろうな・・ って感じがします。
本人が歌ってるワケですから 本当に試合してる時に言ってるみたいに 聞こえてきますね。
子供たちの バックコーラスも 手に汗握って、真剣になって応援してるように聞こえて とてもいいです。(笑)
先にも書いたように 今は、沢村さんは、町道場で 将来の可能性を秘めた子供たちに空手を教えています。
ポケモンの サワムラーのモデルになっている人は、こんなに立派なスポーツマンであり 武道家だったんです。
おもしろいですよね。
本日の参考サイト
こちらのページを参考にさせていただきました。
キックボクシングの誕生とキックの鬼・沢村忠 ← クリック
参考動画
上の 「沢村忠 VS サマン・ソー・アジソン」 のリンクは、アニメなんですが、実は 当時の本物の実写があるんですよ。
沢村忠 VS サマン・ソー・アジソン 実写 ← クリック
あと、沢村選手が サマン・ソー・アジソン と試合をする以前、極真空手の黒崎健時さん、中村忠さん、藤平(後に大沢)昭雄さんの3人が タイでムエタイ選手と試合したことがあるんですが、そのうちの大沢さんの試合の様子がコレです。 結構、歴史的な試合です。
極真空手 対 ムエタイ ← クリック
沢村選手は、空手を学ぶ前に 唐手 という 中国武術を練習していたのですが、おそらく、それは、このような感じのものだと思われます。 空手の型に とても似ていますよね。
易宗唐手道 洪澤漢 八步打 八連手 ← クリック
これはあまり関係ないかもしれないけれど 沢村選手のベースとなっている はじめにならった唐手と ブルース・リー の ベースになっている詠春拳が闘っている動画です。
本当の試合のものではなく、演出されて作られたアクションシーンなのですが、おもしろいのでリンクします。
詠春拳 V.S 唐手道 ← クリック