2011.03.31 Thursday
ラストサムライ 誠実 について
JUGEMテーマ:映画
先日の動画にあった 話だが
東日本大震災 (太平洋東北沖地震) の後、 交通機関がストップし、数時間かけて職場から家へ歩いて帰る疲れきった群衆。 その中で、 「トイレのご利用をどうぞ。」 と書いた紙を 持って 自宅の前に立つ主婦。
何時間も待って、やっと電車に乗り座ることができた おじいさんが、おなかの大きい妊婦を見て、 ヨロヨロと立ち上がり 「どうぞ 」 と席を譲る光景。
こわれた商店街での 略奪の少なさ。
海外からは、驚きの声があがっているという。
今、この文章を読んでいる人たちの多くも 日本の風土で育った人だから その気質を持っている。
武士道の国 と簡単にいうが、 これは、他の国々が、真似をしようとしても すぐには、真似出来ない行為・・ との事。
長い歴史から こうなってきたんだね。
世界中では、負け犬の・・ 愚か者の物語 とされている 『フランダースの犬』 を この東のはずれの島国に住む 一億数千万の我々は、 主人公の少年が 寒さと空腹で苦しみの中でみせた誠実さ と、それに殉じて供をする 健気な犬の忠義心に 惜しみない感動と拍手を贈ってしまうのだ。
たとえば、もし あなたが、公園のベンチで お昼を食べようとしていて、 貧相なボロボロの服を着た人が あなたの弁当を盗んで 一目散に逃げていったとする。
この場合、日本では、恥ずかしいのは 盗まれたあなた ではなく、 盗んだ泥棒の方であり、 尚且つ あなただけではなく、周囲の人はみんな 盗んで逃げた泥棒に対し 「かわいそうに・・ こっちの 暖かい方 を渡したかった。」 などと なんとか援けたいとまで思ってしまうのだ。
これは、決して 日本が裕福だからそうなのではなく、 戦後、たべものの無い時期でも お腹をすかして、ニワトリの卵を盗んで逃げた子供を おばちゃんが追いかけてきて ・・ そして ゆで卵 と 取り替えて渡したりした。 などというエピソードも この国では 決して珍しい話ではないのだ。
誰でもない その辺にいる人たちが 社会的階層が高いわけでもない 学歴があるわけでもない 一般の人たちに そういう気質があるのである。
retrieverは、大学の卒業論文は、「宮本武蔵 五輪の書」 のことを書いた。
その時に 研究したのだが 実は、日本の 武士の哲学には、大きく分けて 3 つの考え方がある。
ひとつが 武士道、 ふたつめが、士道 もうひとつを あげるとすれば、宮本武蔵の 五輪の書に書かれた武道哲学だ。
今日の映画の はなし は、このうちの武士道を とりあげた作品だ。
この映画 『ラストサムライ』 の中の主人公、オールグレンさん という軍人は、 昔、所属していた部隊で、何の罪も無い インディアンの 女、子供を 命令とはいえ 虐殺してしまったという こころの傷を持っていた 。
そして、今度は、日本を植民地にする任務でやってきた。
ところが、最初の頃は、酒に溺れ 自堕落で破滅的な生き方をしていた彼に 興味を持ったのは、東洋の島国である日本の武士達。
自暴自棄の蛮勇が、 武士達の名誉ある死を尊ぶ精神 に似ていて なんとなく 関心を持ったのだ。
誰にでも 不名誉な過去はある。・・・・・ そうか オールグレンさんは、名誉を取り戻したいんだ。 私達も理解者になってしまう。
その後、彼は、アルコール中毒を克服し、剣術を習得し そして、はじめは、全然わからなかった武士としての礼儀作法も身につけ 次第に我々とこころを通わせるようになっていく。
みなさんならどうだろう? 実はオールグレンさんは、 我々を植民化するためにやってきた 異国人であり 敵なのだが・・? 彼を信用するか?
日本人は、男性も女性も 場合によって どんな「実利」より 「誠実さ」 を大切にするときがある。 時には、命よりも・・・
誰だって そうだ。 お金が好きな人はお金に 社会的地位がほしい人は社会的地位に 名声がほしい人は名声に それぞれ弱いものがある。
しかし、本当に あなたの身の回りの誰かが 困って 困って・・・ 苦しんでいて 命にかかわる危険があったとしたら 援けてあげられるとしたら この国の人たちは 少しは応援してあげたい! と考えてしまうのだ。
これは、あなたの お父さん お母さん おじいさん おばあさん から引き継がれてきた どうにもならない気質なのかもしれない。
誰だって 勝ち目の無い勝負は、挑まない 大金を与えれば人は裏切るかもしれない。 面倒な事は、見てみぬフリをする。
たぶん、一生の間に 誰もが 何度かは この選択に迷うだろう。
「あなたにとって悪くはない話」 と 「人の誠実さ」 と あなたは、その時、どっちを選ぶ?