結婚とは、果たして何を得るものなのだろうか? そして、結婚しなかった場合、あるいは、離婚して・・・・ その代わりに得るもの って、何だろうか?
今日、緑道でスポットを当てるのは、大英帝国の礎を築いたと言われるエリザベス1世のはなしだ。
ダイアナ妃の姑さんだった 現代のエリザベス女王ではないよ。(笑) 昔のクイーン エリザベスの話だよ。
この人は、イングランドの女王様に即位したのだけれど、生涯 独身を貫いた事で有名だ。
でも、それでは、男性とは全く付き合わなかったのか? というと、そういうわけでもなく数人の愛人が存在したといわれる。
中でも ロバート・ダドリー とは、結婚の一歩手前までいったのだが、ダドリーの妻だったエミリーが階段から落ちて死亡する事件がおき、「女王とダドリーが結婚する為に 殺人したのではないか?」 という噂が囁かれてしまい 結婚を断念。
ローリー卿に恋を寄せた時は、屈辱の結末に終わる。
「ローリーは、いい男!」 「自分は彼に夢中」といったノロケ話を 実は、ひそかに その彼と淫らな関係にあった恋敵である召使に打ち明けていたのだ。 そして、唯一信頼できる友と思っていた その待女は、 ある日、そのローリー卿の子供を産んだ。
これは、さすがにショックだったろう。 でも女王だから 私的な報復も 怒り散らすことも できない。
結局、 許す・・・・・
また、エセックス伯との恋の行方は、 好きだったのに 彼は反乱を起こしてしまうものだから・・ 公務により処刑を命じる。 命じた瞬間 どんな気持ちだったろう?
それでも 本当に結婚しようと思えば 結婚できたろうに・・・ とは、思える。
エリザベスは語学や音楽的才能に優れ 抜きん出た詩才も持っていた。 他国の使者達の記録によれば、イングランド人にしては綺麗だったと記されているし 友好関係をもちたい他国からは、大勢の王子達が結婚を申し込んできた時期もあった。
歴史研究家によって エリザベス女王が、なぜ結婚しなかったのか? 説は様々であるが・・・ いくつかあげてみよう。
外国の王子様と結婚すれば、その国の属国となるし 国内の者と結婚するには、その者は王になるから みんな目をギラギラさせて、血で血を洗う争いになってしまう。 というジレンマ。
自分の父だった国王が母と母の妹を殺害し、また、母の死後、自分を可愛がってくれた 第二の母も殺害しかけた為、王は、王妃に対して殺意を持つ者という先入観があった。
未婚でいれば、自分は女王で国政を正せるが 結婚すれば夫が、それを行う事になる。 ・・・が、 どうも それだけの器を持つ男が出現しない ・・・・
実は、結婚できない身体であった。 などの説がある。 でも・・どれも確かではない
だが、確実にいえる事は、 彼女は結婚というカードをちらつかせながら 他国との外交を上手に 有利に進め そして 生涯独身を貫くことにより 父が国王だった頃のような 国内の政治抗争も全く起こさず 国を治めた。
そして、エリザベス1世が即位するまで イギリスは世界の中で 貧弱な弱小国だった が、 彼女以後のイギリスは、強国となり経済大国となっていく。
彼女は、まず、宗教改革を行い これまで、ずっと争ってきていたカソリックとプロテスタントをまとめた。
そして、強大国スペインの王子との結婚をちらつかせ、 想いを寄せているような素振りを見せながら 裏では、自分の国の海賊達の犯罪を黙認し、スペインの商船を襲わせていた。
そんな事をしていたし、スコットランド女王のカソリック教徒であるメアリーを処刑し、これが引き金となり 同じカソリックのスペインを怒らせてしまう。
遂に当時、世界最強だったスペインの無敵艦隊が攻めてきたのだった。
歴史に名高いアルマダの海戦である。
あまりにも強すぎる敵に勝てるわけがないと世界中が思った。
エリザベス女王は、女性だったが 騎士が着る甲冑を身につけ馬にまたがって指揮をするしかなかった。 それは、相当、無理のある事だし おいたわしいようにも見えた。
だが、彼女は、そうする事でイギリスの すべての者で力を合わせて戦うという意志をはっきり示したのだ。
そして、国中のすべての男達に武器を取るように命じ、 悪いことをして牢屋に入っている罪人も全員、外に出して、「あなた方も国民です。 国を守るためスペインと闘いなさい。」 と 武器をわたした。
そうして 海軍 も 海賊も 善も 悪も 国中が、何もかも力を合わせて 地球一強い スペインの無敵艦隊を撃破したのだ。 無敵艦隊は、その後、嵐に飲み込まれて消滅して行った。
これによりスペインに変わり イギリスが世界貿易を一気に独占できるようになったのだ。
そして、最後に もうひとつの功績として、それまで別々の国だったスコットランドとイングランドをひとつにした事もあげておこう。
弱小国イギリスを 経済大国にし スコットランドも領土として増やし 無敵艦隊を破り 世界の貿易を支配し
それが、その後の歴史にどういう影響を与えたか・・・ 現在でも 世界で一番使われる 言葉は、どこの国の言葉だろう。 それは、当時、世界を支配したイギリスの言葉である。
また、世界の時間は、イギリス、グリニッジ天文台を基準として定められている。 早い話、イギリス時間が、地球時間なのだ。
エリザベス女王が、結婚を犠牲にし、その代償にイギリスに もたらしたものは、あまりにも多い。 いや 多すぎる・・・・
そして、後に詩才に恵まれた彼女は、「黄金演説」 を残している。
危機に陥ったとき、女王を救ったもの それは国民の女王に寄せる愛、 そして、国民を愛する女王の本心。
今の日本でも こんな政治家は存在しないだろう。
その演説の中で、クリスチャンである彼女は
「私は神が私を女王にならしめたことではなく、 かくも深く感謝を捧げてくれる臣民を統べることを喜びます。」
とまで言っているのである。 つまり、自分は、神様からより 国民から愛される方を 喜ぶと公の立場でいうのだ。
泣けてくるじゃねぇ〜かよう〜 彼女だって、たったひとりの 人間の女の子なんだぜっ!
それが、即位の日を境によぅ〜 友の裏切りにも目をつぶり 愛する者も断ち切り 弱みを誰にも見せる事もなく
二本の脚で、ただ ひたすら 踏ん張りぬいて生きたんだぜぇ〜〜〜〜!
エリザベス1世は、日本史の中でいえば、武田信玄に最も似ている。 スケールでは、比べ物にならない程、エリザベスの方が上だが・・・
信玄も敵の領地で、一向宗に一揆を起こさせ、同時に表では和をもちかけたり、金を上手に使ったり 縁談を臆することなく政治の道具に使ったり、領土を抜け目無く増やしたり
善悪定かならぬところも お互い持っている。 自分は、手を汚す。 手を汚し、自分は罪人となるのかもしれないけれど、それは、愛する我が領地、我が国民の為。
無知で罪を犯すのではない。
天の理を知りて、尚、自ら天を畏れない者 (領民の為に・・)
そして、いつか、このブログに登場する予定の武田信玄に上杉謙信という好敵手がいたように 女王エリザベスにもスコットランド女王のメアリーというライバルがいた。
エリザベスは事あるごとに 敵であるメアリー女王の事を意識して聞いていたという。 メアリーは、どんな髪をしているのか? どちらが背が高いか? どちらが美しいか?
そして、両者は、戦争でも お互い力の限り闘った!
最終的に、メアリーは処刑される事になるが、エリザベスは最後の瞬間まで、メアリーの処刑を嫌がっていたいたという。
世界史では、何かとライバル視される両者だが、このふたり 実は生涯、一度も会った事はないのだ。
もしかすると 自分の分身とまで 思っていたのかも・・・・・・