切り花には、その花その花によって、水揚げの方法というものがある。
自然に咲いている花を切って、そのまま花瓶の水に挿しても、すぐ枯れてしまうのは水揚げしないせいもある。
水揚げの方法は花屋によってやり方がちがう。 皆、先輩がたから、口伝で習うものだ。 ラーメン屋さんのスープと同じで、秘伝があるのだ。 これが、うまく出来る店は、花が脅威的にもつ。
この話をすると、よくお客さんから、真面目な顔をして、洗剤を一滴入れる。 10円玉を入れる。 メネデールを入れる。 氷を入れるなんていうのをアドバイスされるけど、それは一般家庭でそれぞれやってくれ!
親切のつもりで言ってくれているのだが、もし、花屋に言ってる人がいたら、恥ずかしいから これからは言うのは、やめた方がいい。
そんなの誰だって知ってる。 花桶を洗う時、洗剤を完全に流さないとか、桶に胴を入れたりする店もある。
第一それは、水揚げではなく、花をもたせる方法だ!。
もたせる方法も花によっても、店によってもちがう。 覚えてからもみんな日夜、研究したり、実験したり、情報交換したりして研ぎ澄ましているのだ!
洗剤?
花屋によっては、超危険な塩酸(火傷するゾ!)や、強力な延命剤(手がボロボロになるゾ!)を使うところもある。
アルコールを混ぜる時も、花種により薄め方が微妙にちがう。 花展とか、気合はいった時ユンケル(一本数千円)入れる時もある。 酢を入れる花、同じ花でも ぬるま湯にする時期。・・・
みんな、それこそ 命がけで研究しているのだ。
花屋にとって、一本一本の花は、丹念に鍛えた日本刀の一振りくらいの考えだ。
みんな、なにげなく通り過ぎるけど、陳列された花々は、屈強の美剣士集団なんだ。
入荷した花全種が店頭に並ぶには、本にして最低一冊分の説明になるかも知れないよ。
・・・あ、いけない、水揚げの事、書けなかった・・・