緑道

札幌の元花屋さんのブログ いろんな事 書いてます。

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2007.06.30 Saturday

花屋流、突破術

ラベンダー畑

 仕入れというのは、本当にうまくいかない。  売れる見込みで多く仕入れれば、売れず、逆に 少なく入れれば足りなくなる。  

 うまくいく時もあれば、はずれる時もある。 何だって同じだ。

 今回は、うまくいかなかった。 
人間うまくいかないと他人が羨ましく思われるものだ。
 でも、隣の芝生 といわれるように、みんな、それぞれ悩みや 苦しみがあるものなんだが・・。

 うまく、いかない時は、ラベンダーの香りでも、吸ってぐっすり眠る事だ。
手元になければ、香りを想像するだけでもいい。

状況そのものは、変わらないけど、精神を落ち着かせる効力があるから、新鮮な気持ちで再スタートできるよ。

 試してみよう。 ぐるぐる回ってる人は、特に。 






2007.06.29 Friday

水揚げじゃない・・そもそも・・

 切り花には、その花その花によって、水揚げの方法というものがある。
自然に咲いている花を切って、そのまま花瓶の水に挿しても、すぐ枯れてしまうのは水揚げしないせいもある。

 水揚げの方法は花屋によってやり方がちがう。 皆、先輩がたから、口伝で習うものだ。 ラーメン屋さんのスープと同じで、秘伝があるのだ。 これが、うまく出来る店は、花が脅威的にもつ。

 この話をすると、よくお客さんから、真面目な顔をして、洗剤を一滴入れる。 10円玉を入れる。 メネデールを入れる。 氷を入れるなんていうのをアドバイスされるけど、それは一般家庭でそれぞれやってくれ!  

親切のつもりで言ってくれているのだが、もし、花屋に言ってる人がいたら、恥ずかしいから これからは言うのは、やめた方がいい。
そんなの誰だって知ってる。 花桶を洗う時、洗剤を完全に流さないとか、桶に胴を入れたりする店もある。

 第一それは、水揚げではなく、花をもたせる方法だ!。

もたせる方法も花によっても、店によってもちがう。 覚えてからもみんな日夜、研究したり、実験したり、情報交換したりして研ぎ澄ましているのだ!

  洗剤?
花屋によっては、超危険な塩酸(火傷するゾ!)や、強力な延命剤(手がボロボロになるゾ!)を使うところもある。
アルコールを混ぜる時も、花種により薄め方が微妙にちがう。 花展とか、気合はいった時ユンケル(一本数千円)入れる時もある。 酢を入れる花、同じ花でも ぬるま湯にする時期。・・・
みんな、それこそ 命がけで研究しているのだ。

花屋にとって、一本一本の花は、丹念に鍛えた日本刀の一振りくらいの考えだ。 
みんな、なにげなく通り過ぎるけど、陳列された花々は、屈強の美剣士集団なんだ。 
入荷した花全種が店頭に並ぶには、本にして最低一冊分の説明になるかも知れないよ。

・・・あ、いけない、水揚げの事、書けなかった・・・






2007.06.28 Thursday

かなり辛い

 アレンジのキットを製作中である。 つまり、先生が生徒に教える教材だ。 ガラス花器というご指定がある。 それも、二種類。 それも見本も作製する。 忙しい 合間をぬって・・ 

 うちの従業員は、これを うまく作った。 たぶん、明日はうまくいくだろう。 問題があれば、責任はこっち。 割りの会う仕事じゃない。 

 しかも、これは、利益のある仕事ではない。 宣伝になる訳でもない。 したがって、精神的にも疲労する。

 しかし、今はやるしかない。 

 疲れた体に鞭打って、明日は配達に出撃だ。


2007.06.27 Wednesday

 SF 悪の国営花屋

 西暦20××年  花屋は ついに国営となったりして・・

花屋Aはついにお役人となった。

 5時か、帰えるとするかー。 まずー、税金をつかってプール付の店を建てよう。 もちろん、スポーツジムも完備だ。 転勤しよう。 支度金が、がっぽり入る。 地方手当てが給料にプラスされるじゃないか.! 地方の暮らし、大変だからな。

数年もして帰ってくる。 帰ってきたのに どういうわけか地方手当てはもらえつずけるゾ。 これを繰り返してみよう。 行って、帰って、行って、帰って、あれ、給料ふえていくぞ。 いやー、給料アップも大変だー!

 え、ご馳走してくれるの? その代わり仕事まわせって? ダメだよ、それワイロじゃん! え、この、かわい娘ちゃんと、・・ええー、困るなー。 フムフム、その他にも?ぎえー! そんなに、もらえるの。? わかったー! あんたの気持ち受け取ったー! あ、これにてー いよっ! 商談成立ー!。 

でも、もう、老後かー。 あまくだりを繰り返して、がっちり資本を貯めよっと。 その度に退職金も繰り返し もらって、さらに貯めよっと。

あーうー、それもできないくらいヨボヨボじゃー。 年金は皆の者より多く・・わかってるね? 君・・・

なんと? そんな事してたから、金が無いって? 大丈夫じゃよ、ほら、母子家庭の家に援助しちょる金。 あれ、無くしてしまおう。 大丈夫、大丈夫。 女は、例の働き方ができるでな。

 ひゃーほっほっほっほっほ・・・・ほほ・・ほ・・

みなさん、これで、いいのか? 
 

2007.06.26 Tuesday

ブライダルまかりとおる

通常、花屋は以外と地味な役割である。 ホテルでも葬儀場でも裏から出入りし、厨房をとおり会場に花を入れる。 自らが、煌びやかなスポットライトを浴びる事は決してない。 ところが、ブライダルの時だけは、ホテル側も正面から、花を通す。 この後、数分間のみ、俺達は主役となる。

 ボーイさんに戸を開けられ、黒いスリムな上下の衣装を身にまとった俺達は、両手にブーケ、ブートニア、ヘット、台車からこぼれるような花の山を積み、ロビーに入場する。
一瞬、場の空気が止まり、ロビーを埋め尽くす人々の目を強烈な磁力で吸い寄せる。 

 次の瞬間には、ロビーの高い天井に、低いトーンの呻き声が満ち響く。 目を見開き、女性達は本能的にため息を、少女達は数秒間だけ、強い衝撃をうけ 固まって動かなくなる。

直立不動の毅然とした警備員も、少しゆるやかな表情だ。 その横を通過し、遥か奥のエレベーターへ進んでいく。 すると次の奇跡が起こる。 俺達の進路にあたる人々が、次々に ふたつに割れて道が出来ていくのだ。  かなり、地位の高そうな紳士も、この花を折っては大変だ、とばかりに小走りしてこの法則に従う。 

すべての男性を虜にするような 美しい女性の 憧れの視線を受け流し通り去る。 わがままな話だが、去り際にオールドローズの香りをめいっぱいまきちらかす。

エレベーターの前では、パリッとした制服の厳格な顔付きの男が、戸を開けてくれている。 

戸が閉まりショーが終わる。

解らないかもしれないが、この味は一度覚えると、やみつきになる。
幻想のバラ
 



2007.06.25 Monday

パリの場合

 仕事が入り始めた。 会社関係は給料日だもんな。 俺達、小売店の花屋はその給料を狙い、行動を開始する。
「旦那、旦那ー、奥さんに花いかがですか?」 あーあ 行っちゃた・・   「旦那、ああ、旦那ぁー、たまには、奥さんにどうです? 花・・」

 どうも日本人の旦那は、奥さんに冷たい。 一度、外人と付き合った日本人の女の子が「もう、日本人の男となんか付き合いたくない。いや付き合えない。」なんていうのもよく耳にするよな。
そんなに 外人の男ってやさしいのかな?

これは、あるフランス帰りのフラワーインストラクターから聞いた話だ。
パリでは早朝、中年男性達が花屋とパン屋に並ぶそうだ。 「今、花を買っていったおじさん、どうして、買っていったか わかる?」
ハンサムな フランス人フローリストが、フラワー留学中の日本人女性の耳元に小声でたずねたそうだ。

 「パリの男性は、こうして そっと自慢の朝食をつくるのさ。 そして、愛人が目覚めた時、花を添えて ベットに持って行くんだよ。 この街では、女性はベットから出ずに朝食をとれるんだよ。」

・・・・だそうだ。   お国柄だろうか?

「旦那ぁ、奥さんにこの花どうですかー?」  ちぇ、これじゃー マッチ売りの少女だ!   「旦那ー、旦那ぁぁぁー、お願いですから、花買ってくださいよぉー。」

2007.06.24 Sunday

ながれを変える

 「何だ!これは?」 店内に入るなりあまりの湿気にたじろいだ。 花桶の水や鉢物の土の中の水分が原因だ。 モワーとした空気の重さ。 体が次第に重くなっていくようなこの感覚。 ここは、これでも地球なのか? そうしているうちに、春、捻挫して最近完治したはずの足首が疼き出した。 足首の問題だけじゃない。 ウドン粉病やカビの原因を作っているようなものだ。 なんか、不吉な予感もする・・・
 
理屈じゃない! 花屋をやってきて、経験上こんな状態にして、放っておくとロクな事にならない。 よし!とにかく、店の入り口をすべて開け、換気を開始しよう。 

開けれる戸をすべて開き、廊下も開け、換気扇も前回。 すると、重い湿った空気がゆっくりと移動しはじめた。 中央のパーテーションが空気の流れを遮断する為、扇風機で強制的に風の流れを作った。  空気の川ができる。 しばらくすると、外の心地よい風に、体がつつまれはじめた。

花の茎が揺れ始め、足首の痛みもやわらいでゆく。 換気の威力はすごい。 ものの考え方もプラス思考になってくる。 腕組みし、髪を風になびかせ、目を閉じながら、店は船。 俺、船長。 ただいま、風をうけて航海中。・・いつもの、悪い癖で、白昼夢にしばらくひたる。

しかし、その分のタイムロスを差し引いても、その後の作業は風に載って軽快に進み、予定より早めに午前中の作業を終える。 この風が幸運を運んでくる可能性は十分にありそうだ。

2007.06.23 Saturday

花を手にする時 → たんぽぽ博士著

 人類が、地球上に誕生するはるか以前から、植物は生息していました。 地球上に生息する生物は動物界と植物界に分けられます。 動物と植物のちがいは、

 葉緑素をもち、光合成を行い、無機物から有機物をつくりだす事

 細胞の外側に細胞膜ができる事

 成長点や形成層などの細胞分裂によって成長する事

などがあげられます。 また植物は一般に運動能力をもっていません。 しかし、下等な ミドリムシ等のように動物との中間的なものもいくつか存在します。 これは、動物と植物が、原始生物から進化し二つにわかれたものであり、当然、その中間的なものも存在するわけです。

 今から3億7000万年程前、それまで海でくらしていた生物の中で最初に上陸したのは、海草が進化してできた植物でした。 これらの植物を追って、動物も上陸をはじめます。 植物は、陸地にロボク、リンボク、フウインボクなどの大森林をつくり、こういった大木が今、私達が石炭として利用しているものです。 
 その後、植物は環境などに応じて、種族がわかれていきます。 花をつける種子植物はその中のほんの一部のグループにすぎません。

 散歩
 たんぽぽ博士

 私達人間も同じように、生物の進化という長い旅路の末、動物界のなかで、ほんのわずか一部のグループとして存在することに成功しました。 人と花が同時代、同じ大地で接する奇跡が、実現した訳です。

 つまり、みなさんが花を手にとる時、その花は、みなさんの親の親の親の・・・気が遠くなるほど遠い、親の、子の、子の・・・・子。 みなさんの遠い遠い、実の親戚だという事です。 何億年という時を越えて。


2007.06.22 Friday

テーマ 立つハイヒール

 配達をしているといろいろな事に出会う。 昼下がり、交通渋滞で退屈しだした俺は、運転席でぐったりしていた。 ふと、隣に停車している車を見ると、やはり、無表情な顔の中年男性が、退屈そうにあくびしているのだ。 対向車線の車のガラスごしの顔々もまるでゾンビの群れであるかのごとく、ぼーっとした、うつろな目を交差点にむけている。

 歩行者信号が変わり、歩行者が一斉に横断しはじめた。 その中にふたり、見事なエロかっこいいお姉さん系ギャルが横断している。 まるで、ファッション雑誌から飛び出してきたようなふたりは、クールな表情でファッションモデルのような足取りで交差点を横切ってゆく。 

お姉系ギャルは、なぜ、いつも不機嫌そうな顔をしているのか? 笑ってるところって見たことないぞ。 ああ、それが、かっこいいのか。 などと考えていたら、もうすこしで渡りきるところで、急にそのうちの一人の方が笑いながら反対方向に、ちょこちょこ走りだした。 
えっ!信号待ちの車はみんな、彼女の向かう先を見た。 

そこには、路面から、かかとがえらく高いハイヒールが垂直に立っているではないか? 

全員一斉に「おおーー!」と口をとんがらせた。 札幌には路面電車が走っている。 その線路とアスファルトの間にハイヒールの細いかかとが 見事にはさまり直立している。 抜けるんだろうか? ・・・幸いすぐ抜けて、また、今来た側へ走りだす。 

もう一人のお姉さんも交差点を取りまく歩行者、運転手、全員の顔に、安堵の笑みがともり、思わぬ、珍プレイで覇気をとりもどせた一幕だった。 それにしても、持ち主のない片方だけの、大地に立つハイヒール・・衝撃的なフォルムだった。 勉強になった。 お姉さんありがとう。 

2007.06.21 Thursday

店名は桜チョップス

 ひと仕事終えた後の、安堵感、充実感というものは、労働者にしか得ることのできない、開放感がある。 桜のディスプレイが無事、完成した。 

今回、苦労したのは、樹木の足元に配置された暖房器具を避けながら、自然に、尚且つ、仕切りのある小上がり全席から桜の枝々が楽しめ、それでいて、店外からもガラス越しにバランスよく見せるという内、外、二面展開だった点だった。 しかも、小上がりの仕切り板とガラスの間隔が狭く、樹木が魚の骨のような伸び方にならないよう工夫をこらしてある。
 
 外からは、自然な桜並木。 室内からは、至近距離で枝を楽しめ、下草はボイラーと協調しながら所々に集中させ配置した。 外にでたり、店内から確認したりを繰り返しながら少しずつ配置を決めていく。

 作業は夜間に突入し、スポットライトが点灯すると、歩行者が足を止めて見物しだす。本当に日本人は、桜が好きなんだな。 一方の創る我々にも、同じ血が流れている。 なんとも、言えない連帯感が込み上げてくる。 

店の名は、「桜チョップス」!この店では、すべての人が同族だ。 モチローン、外国ノヒトモー、ダイジョブデース・・・・これで通じたろう。
桜チョップス店内ディスプレイ
桜チョップス 年中、桜の花のしたで一杯 

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